米作りの機械一覧|工程ごとの名前と役割から値段の目安まで整理

「米作りにはどんな機械が必要?」 「全部そろえたらいくらかかるの?」

新しく稲作をスタートする際には、こうした機械選びや導入コストに頭を悩ませがちです。

トラクターや田植機、コンバインのほかにも稲の生育管理や収穫後の乾燥調製まで含めると、米作りには想像以上に多くの機械が関わってきます。

すべてを新品でそろえようとすると費用が高額になりますが、中古の活用やレンタル、そして手持ちの農機具買取を活用すれば、初期費用を大幅に抑えることも可能です。

この記事では、米作りに使う機械を作業順(春・夏・秋)に並べ、それぞれの役割や導入費用の目安、コストを抑える考え方まで整理します。

納屋に使わないまま置いている農機具があるなら、農機具買取が専門のウルトラファームにご相談ください。

目次

米作りに使う機械の一覧

米作りに使う機械の一覧

米作りで使う機械は、春の土づくりと田植え、夏の生育管理、秋の収穫と調製の3つに分けると、全体像をつかめます。

表の右端に「持たずに済ませる方法」がある作業は、必ずしも自前の機械を持つ必要はないものです。苗を購入したり、田起こしや田植えを委託したり、乾燥以降を共同施設に任せたりすれば、導入する機械を絞れます。

まずは一連の流れを把握し、自分で行う作業と外部に任せる作業を切り分けるところから考えてみましょう。

田植えまでに使う機械

田植えまでに使う機械

春は種まきから田起こし、代かき、田植えまでの作業が続きます。日程が詰まっているため、機械の不調で作業が止まると、その後の田植えにも影響します。

ここでは、田植えまでに使う代表的な機械を見ていきましょう。

播種機

播種機は、育苗箱に土を入れ、種籾をまき、上から土をかぶせるまでを連続して行う機械です。種をまいた育苗箱は育苗器で温めて発芽させます。このほか、種籾の消毒に使う温湯殺菌機や、発芽をそろえる催芽機も育苗で使う農機具の種類に含まれます。

ただし、苗はJAや育苗センターなどから購入できます。作付面積によっては播種機や育苗器を自前でそろえず、購入苗を使う方法もあります。

育苗は、作付面積が広がっても10a当たりの作業時間があまり減らない作業です。さらに、育苗スペースの確保や水やり、温度管理なども必要になるため、育苗に割ける時間や手間まで含めて、自前で行うかを考えましょう。

トラクター

トラクターは、後ろに取り付ける作業機を交換しながら、田起こし・畦塗り・代かきなど複数の作業に使います。

主な作業機は次のとおりです。

  • ロータリー
  • 畦塗り機
  • ハロー

ロータリーは土を耕す田起こし、畦塗り機は田んぼを囲む畦の補修、ハローは水を張った田んぼの土を細かくして平らにならす代かきに使います。納屋にトラクター本体とは別に置かれている大きな作業機も、こうしたトラクターのアタッチメントの種類のひとつかもしれません。

必要な馬力は田んぼの広さだけでなく、取り付ける作業機の幅や負荷によっても変わります。作業幅の広い機械などを使うほど、より大きな馬力が必要です。トラクターを導入するときは本体だけでなく、どの作業を自分で行うかまで含めて考えます。

田植機

田植機は、育苗箱で育てた苗をかき取り、一定の間隔で田んぼへ植えていく機械です。歩いて操作する歩行型と乗って運転する乗用型があり、一度に植えられる列数を「条」で表します。

機種によっては、苗を植えるのと同時に肥料や薬剤をまく機能も備えています。田植えを短時間で進められる一方、田植機を使うのは年間でも限られた日数です。

そのため、田植機を所有せず、近隣の農家や作業受託組織などへ田植えだけを依頼する方法もあります。機種ごとの値段は「クボタ田植機の価格相場」にまとめています。

稲を育てる間に使う機械

稲を育てる間に使う機械

田植えが終わると、収穫までは大きな機械を使う機会が減ります。一方で、水の管理や見回り、草刈り、防除など、人が田んぼを管理する作業は続きます。

平成27年産のデータでは、米作りの労働時間のなかでもっとも多いのが、水管理や見回りなどの管理です。ここでは、稲を育てる期間に使う代表的な機械を紹介します。

溝切機

溝切機は、田んぼの土に細い溝を掘り、水を抜いたり入れたりしやすくするための機械です。主に、田んぼの水を一時的に抜いて土を乾かす中干しの前後に使います。

人が押して進む歩行型のほか、機械にまたがって移動する乗用型もあります。溝を作っておくと田んぼの水はけが良くなり、根に酸素が届きやすくなります。地面も固まるほか、秋に重いコンバインが入ってもぬかるみにくくなるのがメリットです。

ただし、小さな田んぼでは溝切機を使わずに管理することもあります。

動力噴霧機

動力噴霧機は、稲の病気や害虫を防ぐために薬剤を散布する機械です。タンクに入れた液体の薬剤を送り出し、ホースやノズルを通して田んぼへ散布します。

一方、粒剤や粉剤の薬剤・肥料をまくときは、背負って使用する動力散布機などが使われます。より広い圃場では農業用ドローンや無人ヘリによる空中散布も大きく普及しています。

こうした防除は、自前で機械をそろえる方法だけではありません。地域でまとめてドローン防除などを依頼できれば、専用の散布機を所有せずに済みます。

草刈機

草刈機は、田んぼを囲む畦や法面に伸びた雑草を刈るための機械です。田植えから稲刈りまで何度も必要になるため、夏場は特に出番が増えます。

一般的なのは、肩に掛けて使う刈払機です。このほか、地面を走らせながら草を刈る自走式草刈機もあり、刈払機と草刈機の違いは使う場所で分かれます。長い畦や斜面が多い田んぼでは、自走式のほうが作業負担を抑えられるはずです。

草刈りは地域によって外部へ依頼することもできますが、水管理と同じく田んぼの状態を継続して確認する作業でもあります。そのため、自分で行う範囲と委託する範囲をあらかじめ分けておくと良いでしょう。

稲刈りから出荷までに使う機械

稲刈りから出荷までに使う機械

稲刈りが始まると、まず収穫した籾を乾燥し、次に籾殻を外して玄米にし、さらに選別・計量するまでの作業が続きます。乾燥以降を自宅で行うか、ライスセンターやカントリーエレベーターへ任せるかによって、必要な機械の数は大きく変わります。

コンバイン

コンバインとは、稲刈りから籾を取り出すところまでを1台で進められる機械です。主に次の3つの作業をまとめて行います。

  • 稲を刈り取る
  • 穂から籾を外す
  • 籾とわらを分ける

水稲では主に自脱型コンバインが使われ、一度に刈り取れる列数は「条」で表します。収穫した籾は袋や本体のタンクにため、乾燥機がある場所まで運ぶ流れです。

稲刈りの時期に使う期間は限られる一方、米作りの機械のなかでも価格帯は高めです。そのため、自前で所有せず、稲刈りだけを近隣農家や作業受託組織へ頼む方法もあります。

バインダー

バインダーは、稲を刈り取りながら束ねる歩行型の機械です。コンバインのように脱穀までは行わず、刈った稲を竿などに掛けて天日で乾かす「はざ掛け」をした後、ハーベスターで籾を外します。

現在でも使われているのは、山あいの小さな田んぼやコンバインが入りにくい場所、天日干しの米を作る農家などです。

コンバインが普及する以前は、バインダーで刈り取り、ハーベスターで脱穀する組み合わせが一般的でした。

乾燥機

乾燥機は、刈り取ったばかりの籾から水分を取り除く機械です。収穫直後の籾は水分が多く、そのまま置くと品質低下につながるため収穫した日のうちに乾燥を始めます。

農家で使われる乾燥機は、籾を循環させながら乾かす循環式が中心です。大きさは「石」という単位で表され、クボタの米乾燥機の価格も石数で変わります。

乾燥から先の工程をライスセンターやカントリーエレベーターへ任せるなら、自宅に乾燥機を置く必要はありません。使わなくなった機械の目安は乾燥機の買取相場で確かめられます。

籾摺り機

籾摺り機は、乾燥させた籾から籾殻を外し、玄米にする機械です。籾摺りとはこの籾殻を外す工程のことで、現在の主流はゴム製のロールで挟んで外す方式です。

乾燥機の近くに据え置くことが多く、取り除いた籾殻は機械の外へ排出されます。このほか、羽根などを使って籾殻を外す方式もあります。

籾摺りも共同施設へ任せられるため、乾燥以降をまとめて外部に出すなら、必ずしも自前で導入する必要はありません。

米選機

米選機は、籾摺り後の玄米をふるいにかけ、品質をそろえるための機械です。主に次のような米を選別します。

  • 小さな粒
  • 割れた粒
  • 規格に満たない粒

選別した玄米は計量機で決められた重さに量り、袋へ詰めます。米選機と計量機を一体化した機種もあります。

さらに、着色した粒や異物などを光で見分けて取り除くのが色彩選別機です。自分で販売する米の品質をそろえたい農家などでも導入されています。

なお、玄米を白米にする精米はこの後の工程です。自宅に精米機を持たず、コイン精米機などを利用する方法もあります。

米作りの機械の値段

米作りの機械の値段

米作りに必要な主な機械を新品で一式そろえると、合計で1,000万円を超えることもあります。特にトラクター・田植機・コンバインは高額になりやすく、作付面積が小さいほど機械費の負担を感じやすくなります。

メーカーの希望小売価格をもとにした、新品価格の目安は以下のとおりです。馬力ごとの内訳は「トラクターの新車価格はいくら?」で確認できます。

播種機や溝切機、刈払機などの小型機械も必要に応じて加わり、こちらは数万円〜数十万円ほどが目安です。さらに農機具の価格はここ数年上昇しているため、すべてを新品でそろえると初期費用はさらに膨らみます。

だからこそ、最初から一式を購入するのではなく、手元にある機械を確認したうえで、中古・レンタル・作業委託を組み合わせる考え方が現実的になるでしょう。

コンバインの型式ごとの値段は「クボタコンバイン価格表」にまとめています。

米作りの機械のそろえ方

米作りの機械のそろえ方

米作りの機械をそろえる前に、まずはすでに使える機械がないか確認するところから始めましょう。実家や倉庫に農機具が残っているなら、前述の一覧表と照らし合わせ、どの工程に使えるものがあるか整理します。

確認しておきたいのは、主に次の項目です。

  • メーカー・型式・年式
  • 最後に使った時期
  • 現在も動くか
  • 修理や整備が必要か

メーカーや型式は、本体に付いている銘板で確認できます。農機具の耐用年数を過ぎた機械や、何年も動かしていない機械は、シーズン直前になってから不具合が見つかることもあります。そのため、販売店や整備工場で早めに状態を見てもらうほうが良いでしょう。

使える機械と不足している機械が分かったら、新品だけでなく中古・レンタル・作業委託を比べて、必要なものを補っていきます。

中古で買う

米作りの機械には、年間で使う日数が限られているものも多く、中古市場ではヤンマーの田植え機の中古など、使用時間の少ない機体が見つかることがあります。

中古農機を見る際は、次のような点を確認します。

  • 使用時間
  • 年式
  • 整備履歴
  • 部品の供給状況

トラクターやコンバインなどは、アワーメーターで使用時間を確認できます。価格だけで決めず、その後も修理や部品交換ができる機種かどうかまで確認し、購入後にかかる費用も見込んで選びましょう。

レンタルで借りる

年に1〜2日ほどしか使わない機械なら、購入せず農機具のレンタルで済ませる方法もあります。最近ではJAや農機販売店のほか、地域のレンタル業者や農家同士の農機のシェアリングサービスなどで貸し出しが行われています。

特に田植えや稲刈りは利用時期が集中するため、借りたい機械が決まっているなら早めの予約が必要です。

一方、毎年何日も使う機械では、借り続けるより購入したほうが費用を抑えられることもあるため、年間の使用日数とレンタル費用を比べて判断しましょう。

作業を委託する

機械そのものを用意せず、農作業をまとめて依頼する方法もあります。地域によっては、近隣農家や集落営農組織、JA、農作業受託組織(コントラクター)などに次のような作業を頼めます。

  • 田起こし・代かき
  • 田植え
  • 稲刈り
  • 乾燥・籾摺り・選別

乾燥以降は、ライスセンターやカントリーエレベーターへまとめて出す方法もあります。

作業を委託すれば高額な機械を自前でそろえずに済む一方、委託料がかかり、農繁期には日程の調整も必要です。利用できる組織や受託内容は地域によって異なるため、事前に確認しておきましょう。

例えば、田植機やコンバインを持たず、草刈りや水管理など日常的な作業を自分で行う形も考えられます。高額な機械をすべて購入するのではなく、自分で行う作業だけに必要な機械を残すという考え方です。

米作りの機械の手放し方

米作りの機械の手放し方

作業委託やライスセンターの利用へ切り替えると、田植機やコンバイン、乾燥機、籾摺り機などが使われないまま残ることがあります。

今後の米作りを整理した段階で、次のような機械があれば手放すことも検討してみましょう。

  • 今後使う予定がない
  • 作業委託への切り替えで不要になった
  • 長期間動かしていない
  • 買い替えで使わなくなる

農機具は年式が古くなるほど査定額が下がりやすく、保管中にもバッテリーやゴム部品は劣化していきます。一方、動かない機械でも、部品取りや海外向けの需要によって壊れた農機具の買取につながるケースはあります。

使わないまま置いておくより、今後の使用予定がないと分かった段階で農機具買取に出すのもひとつの方法です。売却代金を残す機械の整備や買い替えに回せるため、必要な農機具へ費用を振り分けるきっかけにもなるでしょう。

米作りの機械でよくある質問

米作りの機械は昔と今でどう変わりましたか?

米作りは機械化によって、必要な作業時間が大きく減りました。1960年ごろは10a当たり170時間あまりかかっていたのに対し、2021年には20時間ほどまで短縮されています。

特に、田植機やコンバインが広まったことで、田植えや稲刈りにかかる負担が大きく減りました。

参考:農林水産省|お米づくりに必要な機械は何ですか。

機械化のメリットとデメリットは何ですか?

メリットは、少ない人数でも広い田んぼを管理しやすくなり、作業時間を短縮できることです。一方で、トラクターや田植機、コンバインなどは高額で、年間の使用日数が少ない機械もあります。

そのため、小規模な農家では、購入だけでなくレンタルや作業委託も含めて考える必要があります。

機械を持たずに米作りはできますか?

小規模な米作りであれば、大型の機械をほとんど持たずに続けることもできます。苗を購入し、田起こし・田植え・稲刈りを外部へ頼み、乾燥以降を共同施設へ任せる方法です。

ただし、水管理や見回りなど自分で対応する作業は残ります。どこまで委託できるかは地域によって異なるため、JAや近隣農家へ確認しておくと良いでしょう。

最新の米作りの機械にはどんなものがありますか?

最近では、直進を補助するトラクターや田植機、農薬散布に使うドローン、収量を測りながら刈り取るコンバインなどが使われています。

このほか、スマートフォンから水位を確認できる水管理機器もあります。導入コストは高く、スマート農業が普及しない理由にもなっています。作付面積や作業内容に合うかを見て判断しましょう。

まとめ

この記事では、米作りに使う機械を春・夏・秋の作業順に整理し、それぞれの役割や値段、そろえ方について解説しました。

覚えておきたいのは、次のとおりです。

  • 春・夏・秋の作業ごとに必要な機械を整理する
  • すべての機械を自前でそろえる必要はない
  • 中古・レンタル・作業委託も含めて導入方法を考える
  • 今後使わない農機具は劣化が進む前に整理する

米作りを始める際は、まず手元にある農機具を確認し、自分で行う作業と外部へ任せる作業を分けてみてください。そこから、残す機械と新たに用意する機械が見えてきます。

今後使う予定のない田植機やコンバイン、乾燥機などは保管している間にも年式が古くなり、部品の劣化も進みます。使わないと判断した段階で農機具買取を利用し、売却代金を残す機械の整備や必要な農機具の導入費用に充てるのもひとつの方法です。

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