管理機とは?耕運機の違いや選び方・種類について解説

農業の現場では、土地の管理と作業の効率化に欠かせないのが、管理機と耕運機です。

これらの農機具は、適切な種類を選ぶことで生産性を大きく左右します。

しかし、農業初心者にとっては管理機と耕運機、またトラクターとの違いについて具体的に分かりにくいかもしれません。

そこで、本記事ではこれらの農機具の違いや基本的な種類、選び方などについて解説しています。

あなたの農地に最適な管理機はどれか、判断するための参考にしてください。

目次

管理機と耕運機・トラクターとの違い

管理機と耕運機、トラクターはどのように区別できるのでしょうか。

多くの農作業で使用される、これらの機械の違いを明らかにしておきましょう。

管理機とは

管理機は、土の管理に関して幅広い用途で使用できる農機具です。

管理機には、さまざまなアタッチメントが取り付けられ、後に説明するように、整地、畝立て(うねたて)、除草など多様な作業に対応できます。

管理機のメリットはその汎用性にあり、1台で多くの作業を行えるため、広範囲の農作業をカバーすることができます。

しかし、農機本体に加え、各作業に応じたアタッチメントを準備する必要があるのは、初期投資としては費用がかかるため、デメリットといえるかもしれません。

耕運機とトラクターとの違い

まず管理機は、さまざまなアタッチメントを付け替えて、多くの農作業をカバーできます。また、比較的小ぶりで、多目的に使用できる設計が特徴です。

次に、耕運機は主に耕うん作業、つまり土を耕すことに特化している農機具です。

近年では多機能化が進んでおり、管理機との区別が曖昧になってきています。耕運機も、管理機と同じく手で押して操作します。

耕運機の使い方については「耕運機の使い方とは?困ったときの対処法や注意点についても解説」も参照してください。

最後に、トラクターはさまざまなアタッチメントを付け替えて多様な農作業に使用され、この点は管理機同様です。

トラクターの大きな特徴のひとつは、運転席があり、より大きな馬力を持っている点です。そのため、広範囲の農地や重い作業に適しています。

管理機でできる農作業

管理機は、さまざまなアタッチメントを装着することで多岐にわたる農作業を行うことが可能です。

具体的には、以下のような作業が挙げられます。

  • 耕運
  • 整地
  • 畝立て
  • 中耕・培土
  • 除草
  • マルチ張り

それぞれ詳細を説明します。

耕運

耕運作業では硬い土を砕き、空気と混ぜ合わせてふかふかの土を作り出します。

これによって作物の根が張りやすくなり、土壌に肥料を混ぜることで栄養豊かな環境を整えることができます。

整地

整地とは、耕した土を平らにすることです。

整地を施すことにより、畝立てがしやすくなり、農地の仕上がりも美しくなります。

特に広範囲の農地では、手作業で整地を行うと膨大な労力を要するため、管理機が活躍します。

畝立て(うねたて)

畝立て作業では、土を盛り上げて畑に直線状の山を作ります。

畝立てによって地面に日光が当たりやすくなり、通気性や水はけが良くなって植物が育ちやすくなるのです。

本来ならば熟練の技術が必要な畝立て作業も、管理機を用いれば容易かつ効率的に行えます。

中耕・培土

中耕・培土作業では、雨などの影響で固くなった株元の土を柔らかくし、土を盛り直します。

この作業を行うことで株を安定させ、作物の成長を助けられます。

手間がかかる中耕・培土作業も、管理機を使用すれば簡単に行うことができるでしょう。

除草

雑草が生い茂っていると、育てたい作物に肥料が十分に行き渡らない弊害が起こります。

また、雑草によって風通しが悪くなることによる悪影響も考えられます。

このような雑草の処理には除草剤やバーナーの使用が挙げられますが、小さい畑で目的の作物を避けながらこれらを使用するのは簡単ではありません。

そこで、管理機を使えば、除草剤やバーナーに代わる効果的な方法で雑草処理が行え、作物への影響も少なくすることが期待できます。

マルチ張り

マルチ作業では農業用ポリエチレンフィルムをうねに張ります。

フィルムによって根元の土が植物に付着しにくくなり、害虫や病気のリスクが減少します。

また、地面の温度を保ち乾燥を防ぐため、作物が育ちやすくなります。

手作業で行うには骨の折れるマルチ作業も、管理機を利用することで格段に楽になるでしょう。

管理機の種類

管理機には、主に以下の種類があります。

  • 車軸ロータリー式
  • フロントロータリー式
  • リアロータリー式

それぞれ説明します。

車軸ロータリー式

車軸ロータリー式は、管理機の中でも最も一般的なタイプです。

このタイプの特徴は、駆動用の車輪がなく、代わりに車軸に直接ロータリーが直結されていることにあります。

車輪ロータリー式のメリットは、その操作が容易なことです。

軽量で小型の設計であるため、機械を扱う際により少ない労力で済み、狭いスペースや複雑な地形でも扱いやすくなっています。

比較的安価で購入できるのも、車軸ロータリー式の大きなメリットです。

ただし、駆動用の車輪がないため、移動が不便であるというデメリットもあります。

広い農地を移動する際や機械を異なる場所へ運ぶ必要がある場合に不便さを感じるかもしれません。

使用環境やニーズに応じて、車軸ロータリー式耕運機を選ぶかどうかを検討する必要があるでしょう。

フロントロータリー式

フロントロータリー式の管理機は、ロータリー部分が機械の前部に配置されているタイプです。

この構造のメリットとして、使用中に足が巻き込まれる危険性が低いことが挙げられます。

操作に慣れていない初心者にとって、安全性の高さは大きな魅力です。

また、フロントロータリー式は畑の隅々までロータリーを届かせやすいこともメリットです。

ロータリー部分を軽く持ち上げることができるため、方向転換や旋回が容易で、狭いスペースや複雑な地形での作業にも対応できます。

デメリットとしては、重いエンジンが後ろにあるため、機械の重心が後部に偏ることが挙げられます。

重心が後ろにあることにより、ロータリーを土に押し付ける際の刃の食い込みが弱くなる可能性があります。

これは、リアロータリー式に比べると、耕運性能が若干劣ることを意味するため、認識しておく必要があるでしょう。

リアロータリー式

リアロータリー式の管理機は、ロータリーが機械の後部に配置されているタイプです。

このリアロータリー式は、前方の車輪がロータリーを引っ張ることにより、直進性に優れています。

また、車体の重量がロータリーに効果的に伝わるため、安定感があり、刃が深く土に食い込むことでしっかりと耕すことが可能です。

しかし、リアロータリー式で特に注意したいのが、ロータリーが作業者の足元に近い位置にあるため、足が巻き込まれる危険性がある点です。

このため、操作時には十分に安全に気を配る必要があります。

安全性を高めるためには、巻き込み防止のロータリーカバーが付いているモデルを選ぶとよいでしょう。

バックする際にロータリーが作動しない安全機能が付いたモデルもあります。

管理機を選ぶポイント

管理機を選ぶ際のポイントは、以下のような項目を挙げることができます。

  • 圃場(ほじょう)に適しているか
  • どんな作業を効率化したいか
  • 動力に何を使うか
  • どのロータリー式にするか
  • 予算に収まるか

では、それぞれについて解説します。

圃場(ほじょう)に適しているか

面積が広い圃場では、馬力が大きく耕幅が広い製品がおすすめです。

馬力が大きい機械は価格が高くなりがちですが、作業時間の短縮や労力の削減、そして効率の向上が期待できます。

小規模な圃場や複雑な形状を持つ圃場では、馬力は小さくともコンパクトで小回りが利く製品が向いています。

これにより、狭いスペースや隅々まで効率的に作業を行うことが可能になるでしょう。

また、土質も考えるべきポイントです。

土質が粘土質で重く硬い場合は、より強い力が必要となるため、面積にかかわらず馬力の大きい製品を選ぶことが推奨されます。

粘土質の土の場合は機体が軽いと操作が難しくなります。

このような土質では、30kg以上の重量のある機体であれば、しっかりと耕すことができるでしょう。

どんな作業を効率化したいか

管理機は多様な農作業をサポートすることができますが、そのためには適切なアタッチメントが必要です。

そのため、どのような作業を主に行いたいのかを明確にすることが大切です。

耕うんだけではなく、他の作業にも活用したい場合は、アタッチメントを交換できるタイプの管理機を選びましょう。

多様なアタッチメントにより、1台の機械で複数の作業を効率的に行うことができます。

製品によっては、必要なアタッチメントが連結できないこともあるため、購入前にどのような作業に使用したいかを具体的に決め、それに対応した機種を選ぶことが重要です。

除草や畝立て、種まき、収穫など、特定の作業を効率化したい場合は、それぞれの作業に最適なアタッチメントが利用できるかを確認する必要があります。

動力に何を使うか

管理機にはガソリン式、バッテリー式、ガス式という3つの主要な動力のタイプがあります。

ガソリン式は最も一般的で、高いパワーを発揮してくれます。馬力の大きな管理機でも安定して利用でき、冬場でもエンジンが始動しやすいのが特徴です。

ガソリン式には、4サイクルエンジンと2サイクルエンジンの2種類があります。

4サイクルエンジンは、通常、ガソリンスタンドで給油するのに対し、2サイクルエンジンはガソリンと専用オイルを混合して使用します。

バッテリー式は動作音が静かで、家庭用の電源から充電可能です。

燃料交換が不要でメンテナンスもほとんど不要ですが、パワーや持続時間に制限があるため、より軽い作業に適しています。

ガス式は家庭用のカセットボンベを使用し、手軽に使用できるのが特徴です。しかし、パワーや持続時間に制約があるため、家庭菜園など小規模な用途に適しています。

どのロータリー式にするか

ロータリーのタイプには、前に説明した通り、車軸ロータリー式、フロントロータリー式、リアロータリー式の3つがあります。

どのタイプを選ぶかは、以下のような観点から考えます。

  • 細かな動きができるか
  • 安定感があるか
  • 深く耕運できるか

細かな動きを要する、狭いスペースや複雑な地形での使用を考えている場合は、車軸ロータリー式やフロントロータリー式が適しています。

一方、安定感があり、広範囲の均一な作業を行う場合は、リアロータリー式が適しているでしょう。

また、重い土質や硬い土地でしっかりと深く土を掘り起こす必要がある場合も、リアロータリー式が向いています。

予算に収まるか

管理機を選ぶ際には、機能の充実だけでなく、価格が予算内に収まるかどうかも非常に重要なポイントです。

圃場の規模や土質、使用頻度、メンテナンスの負担、燃料費などを基に、費用対効果を踏まえた適正な価格帯の製品を選ぶことが大切です。

馬力が高い管理機はよりパワフルで作業効率の向上が期待できますが、価格も高くなる傾向があります。

また、馬力が高いほど燃料費も多くかかる傾向にあります。このため、馬力と価格のバランスを考慮することが必要です。

ロータリーの位置によっても価格は大きく異なります。

一般的には、「車軸ロータリー式<リアロータリー式>フロントロータリー式」の順で価格が高くなります。

ロータリーの位置は作業効率や使い勝手に直結するため、妥協せずに適切なタイプを選ぶことが重要です。

管理機の主要メーカー

管理機をリリースしている主要なメーカーには、以下のようなものがあります。

  • クボタ
  • ヤンマー
  • イセキ
  • 三菱
  • ホンダ

クボタは、農業機械の大手メーカーであり、管理機や耕運機など、多種多様なアタッチメントを付けて使用できる機械を多数生産しています。

ヤンマーは、中価格帯の管理機が多く、一輪タイプや畝立て専用機など、汎用管理機のラインナップが充実しています。

イセキは、家庭用のミニ耕運機とともに、管理機・耕運機を手掛けています。

三菱は、管理機・ミニ耕運機ともに取り扱いがあり、アタッチメントの豊富さも特徴です。

ホンダは、、1輪タイプと汎用タイプの2製品を展開しており、アタッチメントも幅広い使用が可能です。

まとめ

管理機と耕運機の違いについて説明しました。どの機械があなたの農地に最適か判断するためのヒントは、得られましたか。

管理機には、車軸ロータリー式、フロントロータリー式、リアロータリー式があり、扱いやすさ・パワー・安全性などにおいて、それぞれ異なるメリット・デメリットがあります。

また、管理機を選ぶ際のポイントや主要メーカーについても紹介しました。

これらを参照すれば、どれがあなたの選ぶべき管理機、あるいは耕運機なのか大きな方針が見えてくるでしょう。

必要に応じて、トラクターや耕運機に関する情報も押さえておいてくださいね。

最後に、使用しなくなった農機具があれば、買取も検討してみてください。

そうすることで新しい農機具を購入するための資金に充てることができるでしょう。

ウルトラファームでは管理機や耕運機の買取を行っていますので、お気軽にご相談ください。

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