トラクター用アタッチメント15種類を紹介!目的別に選べるようになる

農業の現場で重宝されるトラクターの利便性をさらに引き出すのが、アタッチメントです。

本記事では、耕土や収穫、土壌の管理などあらゆる作業を効率化できるトラクター用アタッチメントについて紹介します。

農作業の生産性を高めるアタッチメントの種類について知り、トラクターのアップデートに役立ててください。

目次

​​トラクター用アタッチメントとは

用途に応じてトラクターに取り付けて使用するさまざまな部品を、アタッチメントといいます。

アタッチメントはトラクターの用途を広げるために不可欠であり、畑の耕作や畝立て(うねたて)、草刈り、重量物の運搬などの作業に使用されます。

異なるタイプのアタッチメントを取り付けることで、トラクターは多目的な農業機器となるのです。

適切なアタッチメントを選ぶことで、作業の効率を高め、農業の生産性を向上させることができます。

​​トラクター用アタッチメントの選び方

アタッチメントを選ぶ際は、以下の点を考慮します。

目的に合っているか

トラクターのアタッチメント選びでは、まず何の作業を行いたいかを明確にすることが重要です。

例えば、畑を耕す目的であればサブソイラーを選びます。このアタッチメントは、土を柔らかくし、通気性と水はけを良くすることで、作物の根の成長を促します。

畑専用、田んぼ専用、両方に対応するアタッチメントなど、作業内容に合わせて適切なものを選ぶことが肝心です。

トラクターに合っているか

トラクターの馬力や重量に合ったアタッチメントを選ぶことも大切です。

馬力が不足しているとアタッチメントを十分に動かせない可能性がありますし、逆に馬力が過剰だとアタッチメントを損傷させる恐れがあります。

また、アタッチメントの取り付けによって重心バランスが変わるため、トラクターの安全性にも配慮する必要があります。

一般的に、30馬力前後のトラクターが多くの作業に適していますが、最終的な選択はメーカーごとの仕様に基づいて行うべきです。

2点リンクか3点リンクか

トラクターには主に2点リンクと3点リンクのタイプがあります。

小型機種や旧型機種には2点リンクが、大型機種や新型機種には3点リンクが多く見られます。

3点リンクは市場シェアが高く、アタッチメントの種類が豊富です。

また、3点リンクには「標準」と「特殊」の種類があり、メーカーやモデルによって異なるため、選択する際は仕様を確認することが必要です。

​​トラクター用アタッチメントの種類15選

トラクターのアタッチメントにはさまざまな種類があり、それぞれ特定の作業に特化しています。

以下に代表的なアタッチメントの種類とその用途について説明します。

ロータリー

ロータリーは田畑の耕起(こうき)に用いられる主要なアタッチメントです。

複数の耕うん爪が回転し、土や雑草を細かく砕きます。これにより、土を柔らかくし、空気を含ませることで作物が育ちやすい土壌を作り出す「乾土効果」が得られます。

また、肥料を均等に混ぜることも可能です。

参考:松山株式会社「ロータリー」

プラウ

プラウは深耕作業に適したアタッチメントで、下層の土を掘り起こし表面と入れ替える「天地返し」を行います。

これにより、病害の抑制や排水性の向上が期待できます。

作物の根が地中深くまで張ることで、成長促進の効果もありますが、使用後は他のアタッチメントで整地が必要です。

フロントローダー

フロントローダーは、トラクターの前方に装着され、収穫物や飼料などの運搬や積込みに使われます。

左右のアームはトラクターの「腕」となり、人の手では運べないものも運搬できます。

バケット、ベールグリッパ、フォークなどさまざまなアタッチメントに付け替え可能です。

重量物の持ち上げや除雪作業にも利用され、農作業以外でも重宝されます。

サブソイラー

サブソイラーは心土破砕機とも呼ばれ、水はけの悪い圃場(ほじょう)の改善に有効な農機具です。

地中深くの硬い土層である心土を砕くことを目的としています。心土は通常、地表から30cmより下に位置しており、この層を砕くことで土中の水分の浸透性を向上させることが可能です。

また、土中に溝ができることで空気の含有量が増え、作物への酸素供給が増加する結果、良好な生育環境の実現が期待できます。

ハロー

ハローは、土を細かく砕き、田畑の表面を均一にするための砕土機です。プラウ使用後の整地作業や、水田の代掻き(しろかき)に用いられます。

代掻きは苗の植えやすさや均一な生育、雑草抑制に効果的です。

ロータリーより細かい整地が可能ですが、使用頻度はそこまで高くありません。

畝立て機(うねたてき)

畝立て機は、野菜栽培のために土を盛り上げる畝立てを作るアタッチメントです。

ロータリーに取り付けるタイプや一体型のロータリーがあり、小規模な農家や家庭菜園に適しています。

畝立てと同時にマルチ張りや播種(播種)が可能なモデルもあり、作業の効率化に大きく寄与します。

マルチ

マルチャーは畝にフィルムを張るためのアタッチメントで、地温の上昇、水分保持、雑草の抑制などの効果があります。

トラクターや耕運機に装着して使用し、畝立て機と一体化したモデルも存在します。作業時間の短縮にも効果的です。

畦塗り機(あぜぬりき)

畦塗り機は、田んぼの畦(あぜ)を土で塗り固める作業に用いられます。

水稲栽培において水漏れを防ぐために必要な作業で、手作業よりも迅速かつ効率的に畦塗りが可能です。水の流出を防ぐために欠かせないアタッチメントです。

播種機(はしゅき)

播種機(シーダー)は、文字通り、畑に種を蒔くためのアタッチメントです。一定の深さや間隔で正確に種を播くことが可能です。

手押し式や自走式、けん引タイプなどがあり、広い圃場での使用にはトラクターに装着するタイプが適しています。施肥(せひ)と播種を同時に行うモデルもあり、作業効率の向上が期待できます。

フレールモア

フレールモアは草刈り専用のアタッチメントです。

草刈機の刃には、ロータリー式、ハンマーナイフ式がありますが、フレールモアはハンマーナイフ式を採用しています。

高速回転する爪が草を巻き込みながら刈り取り、同時に細かく粉砕します。広範囲の草刈り作業を迅速に行うことが可能で、作業後の草の回収が不要です。

ブロードキャスタ

ブロードキャスタは、粒状の肥料や土壌改良剤を広範囲に散布するためのアタッチメントです。

円錐型のホッパーから肥料を入れ、スピンナーの遠心力を使って肥料を全面に散布します。

作業時間の短縮と労力の軽減ができる反面、散布の均一性が難しく、ムラが生じることがデメリットです。

カルチべーター

カルチべーター(カルチ)は、畝間の中耕(ちゅうこう)や除草、培土を行うためのアタッチメントです。

種類にはロータリーカルチやディスクカルチがあり、それぞれ作業スピードや仕上がりの質に違いがあります。乗用管理機のアタッチメントとしても利用されることがあります。

収穫機

収穫機は、サツマイモやジャガイモなどの根菜類や、ネギや玉ねぎなどの収穫に使用されます。

トラクターのアタッチメントとして取り付けるタイプのほか、自走式・乗用型などがあります。

手作業に比べ大幅な労力軽減をもたらし、多くの農家に導入されているのが、この収穫機です。

ロールベーラ

ロールベーラは、刈り取られた牧草やわらを拾い上げ、円柱状に圧縮して成形・梱包する作業機です。

これらはロールベールや牧草ロールとして家畜の飼料や寝床に利用され、サイレージ作りにも適しています。

発酵を促進することで栄養価の高い飼料を長期保存可能にします。

トレーラー

トレーラーは、農業用の運搬車両で、トラクターやトラックでけん引します。

コンバインや田植機などの農機具の運搬や、農作物、肥料などの輸送に使用されます。

けん引車両と合わせた総重量が750kgを超える場合、けん引免許が必要となるため注意しましょう。

トラクターのアタッチメントを長く使うには

トラクターのアタッチメントを長持ちさせるためには適切な保管とメンテナンスが重要です。

以下に、長期にわたってアタッチメントを維持するための主要なポイントを説明します。

適切に保管する

アタッチメントの寿命を延ばすためには、保管方法が重要です。

錆びを防ぐために、屋内または雨風を避けられる屋外の場所に保管しましょう。

湿度が高い場所や直射日光が当たる場所は、避けることが望ましいです。

接続部分のメンテナンスをする

アタッチメントとトラクターを接続するジョイント部分のメンテナンスは特に重要です。

接続部分にはグリスを塗布して、錆びや摩耗を防ぎましょう。

ジョイントは常に負荷がかかる部分なので、定期的な手入れが不可欠です。

爪のゆるみがないか確認する

ロータリーなどの爪は、使用中に緩みやすいため、定期的にボルトを締め直す必要があります。

爪が緩むと、作業中に抜け落ちる危険性があるため、注意が必要です。

定期的な点検と締め直しは、安全性を高めるだけでなく、アタッチメントの寿命を延ばすのにも役立ちます。

まとめ

アタッチメントはトラクターの能力を拡張し、農業作業をより簡単で、生産的なものに変えてくれます。

各アタッチメントが特定の作業に特化していることを理解することで、農作業の質を向上させ、最終的には作物の品質と収量を向上させることができます。

この記事を通じて、アタッチメントがいかに多岐にわたる作業をサポートし、昨今における農業の効率化に寄与しているかが明らかになったでしょう。

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