乗用草刈機は公道走行できるのか?

乗用草刈機(乗用モア)を軽トラックに積み降ろしせず、そのまま運転して近くの畑や倉庫へ移動したいと考える方は少なくありません。結論からお伝えすると、市販されているほとんどの乗用草刈機は公道走行が禁止されています。

市区町村の役所でナンバープレートを取得していても、保安基準を満たしていない機体で道路を走ると法律違反になるため注意が必要です。この記事では、ナンバープレートと公道走行の正しい関係や、公道を走れる例外モデルの条件を説明します。

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目次

乗用草刈機とは?

乗用草刈機とは、その名のとおり乗車して操作できる自走式草刈機で「乗用モア」とも呼ばれます。

作業者がエンジンで走行する草刈機の機械に乗り、操縦しながら草刈りを行います。

大規模な草刈り作業に適しており、作業者が直接歩かなくても良いため、長時間の作業でも体への負担が少ないのが特徴です。

ハンドル操作をする刈払機や、自走式草刈機であるハンマーナイフモアなどよりも効率的に広範囲の草を速く刈ることができます。

乗用草刈機は、背の高い雑草を刈るのにも適しています。

乗用草刈機はフロントバンパーで雑草を押しながら進み、下部のモアデッキに草を集めて刈り取りますが、その際に高速回転する刃によって雑草を粉砕するため、刈った後の草が地面に残らず、後処理の必要がありません。

乗用草刈機の公道走行が原則禁止される理由

市販されている乗用草刈機の大部分は、私有地や圃場内での作業専用として設計されています。運転免許やナンバープレートの有無にかかわらず、一般道路を走行できない理由には法律上の基準が関係しています。まずは多くの所有者が誤解しやすい保安基準とナンバープレートの関係を確認しましょう。

道路運送車両法の保安基準を満たしていないため

公道を走行する車両は、道路運送車両法で定められた保安基準に適合していなければなりません。車の種類や最高速度に応じて、灯火器や方向指示器(ウインカー)、後写鏡(バックミラー)などの装備が求められます。公道走行を想定していない乗用草刈機は、こうした装備を備えておらず、公道を走るための構造要件を満たしていません。

前照灯(ヘッドライト)が付いている機種であっても、それだけで公道を走れるわけではありません。基準を満たさないまま道路へ出ると、法令違反に問われるおそれがあります。

ナンバープレートは納税の証明で公道走行の許可証ではない

乗用草刈機を所有すると、市区町村の役所でナンバープレート(課税標識)の交付を受ける必要があります。乗用設備のある草刈作業車は小型特殊自動車として軽自動車税(種別割)の課税対象となるためです。公道を走るかどうかに関係なく、所有しているだけで申告と納税の義務が発生します。

つまり役所で交付されるナンバープレートは、税金を納めていることを示す標識です。丸山製作所のサポート情報でも、ナンバーを取得していても公道走行はできないと案内されています。ナンバーが付いているから公道を走ってもよいわけではないため、混同しないよう注意してください。

農道や林道も公道とみなされるケースが多い

交通量の少ない農道や林道であれば、乗用草刈機で走っても問題ないと考えるのは危険です。道路交通法の「道路」には、道路法の道路だけでなく、一般の交通に使われている場所も含まれます。舗装されていない農道でも、誰でも通れる道なら道路として扱われます。

自宅の敷地と畑が道路を挟んで向かい合っているような場合でも、公道非対応の機種で道路を横断・走行することは避けてください。

例外として公道走行できる乗用草刈機と4つの必須条件

乗用草刈機は原則として公道を走れませんが、保安基準に適合し、小型特殊自動車として認定された一部のモデルに限り公道走行が可能です。ここからは、公道走行に対応した具体的な機種と、実際に道路を走るためにクリアすべき4つの条件を解説します。

小型特殊自動車の型式認定を受けた一部モデルのみ走行可能

メーカーが最初から公道走行を前提として開発し、型式認定を受けた乗用草刈機であれば一般道路を走行できます。代表的なモデルが、筑水キャニコムの乗用草刈機である家族(うち)のまさおシリーズ(CMX2412HCDやCMX2506など)です。

たとえばCMX2412HCDの製品ページには、小型特殊自動車の型式認定番号が記され、公道走行が可能と書かれています。軽トラックへの積み降ろし作業を省き、倉庫から離れた圃場まで乗ったまま移動できるのが大きな強みです。

公道走行モデル以外も含めて機種を比べたいときは、自走式草刈機の比較やおすすめメーカーも参考にしてください。

条件1:小型特殊自動車の規格(サイズ・最高速度)への適合

小型特殊自動車の運転免許で運転できるのは、車体の長さが4.7m以下、幅が1.7m以下、高さが2.0m以下(ヘッドガードなどを含めると2.8m以下)で、最高速度が15km/h以下のものです。この範囲を超えると大型特殊自動車の扱いになり、必要な免許も変わります。購入前にカタログで寸法と最高速度を確かめておきましょう。

なお、公道を移動する際は、取扱説明書の指示に従って草刈り刃(ロータリー)の回転を止め、刈取部を上げた状態で走行してください。

条件2:小型特殊免許または普通自動車免許の保有

小型特殊自動車として認定された乗用草刈機で公道を走るには、対応する運転免許証が必要です。小型特殊免許はもちろん、普通自動車免許(AT限定を含む)や大型特殊免許、普通二輪免許などを持っていれば運転できます。

私有地の畑の中だけで作業する場合は道路交通法が適用されないため免許がなくても問題ありませんが、一歩でも公道へ出た瞬間から道路交通法が適用されます。移動時は必ず有効な運転免許証を携帯して乗車してください。

条件3:市区町村でのナンバープレート取得と装着

公道を走行する前には、お住まいの市区町村役場で小型特殊自動車の申告を行い、ナンバープレートを取得して車体後方の見やすい位置に取り付ける必要があります。必要な書類は市区町村ごとに異なるため、事前に役場の案内を確かめましょう。

先に書いたとおり、公道非対応の機種でも納税のためにナンバー取得は必要ですが、公道対応モデルの場合は「納税義務の履行」と「公道走行時の車両識別」の両方の役割を果たします。ナンバープレートを装着せずに公道を走ると法令違反になるため、納車後すぐに手続きを済ませましょう。

条件4:自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)への加入

公道走行対応の乗用草刈機で見落としがちなのが、自賠責保険への加入義務です。自動車損害賠償保障法では農耕作業用の小型特殊自動車は対象外とされていますが、草刈作業車は農耕作業用には含まれません。そのため、乗用草刈機で公道を走る場合は自賠責保険への加入が必須となります。

国土交通省の案内によると、自賠責保険に未加入のまま公道を走行すると、1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金に加えて、違反点数6点で免許停止処分となります。さらに万が一の事故に備えて、対人・対物補償をカバーする任意保険への加入もおすすめします。

農作業機が公道走行するためのチェックポイント

農作業機を直接装着、またはけん引している農耕用トラクタの公道走行については、一定の条件を満たした場合に可能となりました。

参考:農林水産省「作業機付きトラクターの公道走行について 」

灯火器類の確認

灯火器類には、ヘッドランプ、ウィンカー、後部・前部反射器、車幅灯、テールランプ、ブレーキランプ、バックランプなどが含まれます。

これらの灯火器類は、他の車両や歩行者に明確に見える必要があり、視認性が不十分な場合は、灯火器類を適切な位置に追加装着する必要があります。

全幅の確認

特定小型特殊自動車として分類される機体で、作業機を含めた全幅が1.7mを超える場合、以下のような対策を施す必要があります。

  • 農作業機の両端に反射器を設置する
  • 機体左側にサイドミラーを設置する
  • 保安上の制限を受けている自動車であることを示す標識を表示する

全幅が2.5mを超えている場合には、別途対応が必要です。

  • 道路管理者から特殊車両通行許可を得る
  • 前面・後面に外側表示版、反射器、灯火器を設置する
  • 保安上の制限を受けている自動車であることを示す標識、および「全幅◯.◯◯メートル」を後面の見やすい位置に表示する

運行速度の確認

農作業機を装着することにより、安定性(傾斜角度)が変わるため、安定性の保安基準(30度又は35度)を満たせなくなる場合があるため、確認が必要です。

安定性の確認方法は、日本農業機械工業会のホームページで公表されています。

免許の確認

小型特殊免許・普通免許で運転できるものは、農耕トラクタ単体、あるいは農耕トラクタに農作業機を装着した状態で、以下の条件を満たす必要があります。

  • 寸法:長さ4.7m以下、幅1.7m以下、高さ2.0m以下
  • 最高速度:15km/h以下

この寸法を超える場合、大型特殊免許が必要となります。

公道走行に対応していない乗用草刈機を移動させる解決策

現在所有している乗用草刈機が公道走行に対応していない場合、後からウインカーやミラーを取り付けても、保安基準に合っているかを自分で確かめるのは難しく、メーカーも公道走行を認めていません。法令を守りながら複数の圃場間を移動するための現実的な解決策を2つ紹介します。

軽トラックとアルミブリッジを使って安全に運搬する

公道非対応の乗用草刈機を離れた畑へ移動させる最も確実な方法は、軽トラックの荷台に積載して運搬することです。積み降ろしの際は、機体の重量に十分耐えられる農機具専用のアルミブリッジ(道板)を使用し、平坦で安定した場所を選んで作業を行ってください。

アルミブリッジのフックが荷台にしっかり掛かっているかを確認し、固定用のロープやラッシングベルトで車体を確実に縛り付けることが重要です。傾斜がきついと積み込み時に転倒する危険があるため、長さに余裕のあるブリッジを選ぶと安全性が高まります。

公道走行可能なモデルへの買い替えを検討する

圃場が複数に分かれており、毎回の積み降ろし作業が大きな負担になっている場合は、公道走行に対応したモデルへの買い替えが有力な選択肢になります。現在使用している乗用草刈機がまだ動く状態であれば、農機具専門の買取業者に査定を依頼することで、新しい機種の購入資金に充てられます。

値段は型式や年式、状態で決まるため、まずは手持ちの機体の査定額を確かめてみてはいかがでしょうか。農機具買取が専門のウルトラファームでも、乗用草刈機の査定を受け付けています。

乗用草刈機の主なメーカー

乗用草刈機を製造しているメーカーを3つ紹介します。

オーレック

オーレックは「ラビットモア」という名称で乗用草刈機を製造している、福岡県のメーカーです。

オーレックの商品は「共立」や「ISEKIアグリ」などからデザインが異なるOEM製品としても販売されています。

乗用草刈機の機種が多く、現場に合わせた機種を選びやすいメーカーです。

アテックス

アテックスは「刈馬王」という名称で乗用草刈機を製造している、愛媛県のメーカーです。

4WDとフロントサスペンションを備えた機種で知られています。

キャニコム

キャニコムは、「草刈機まさお」シリーズとしてユニークなネーミングで乗用草刈機を製造している福岡県のメーカーです。

キャニコムはネーミングにこだわりを持つ企業で、一度聞いたら忘れられない印象的なネーミングの製品を多数世に送り出しています。

乗用草刈機の公道走行でよくある質問

乗用草刈機の公道走行に免許は必要ですか?

公道を走れるのは小型特殊自動車として認定された機種で、ナンバープレートの取得が必要です。運転できる免許は区分と寸法で決まるので、購入前に確かめましょう。

乗用草刈機で公道を走ると違反になりますか?

公道走行が禁止されている機種で道路を走ると、交通関係の法律違反になるおそれがあります。普通の運転免許があっても、道路での使用は許可されません。

乗用草刈機が公道を走れるかはどう調べますか?

取扱説明書で区分を確かめるのが基本です。公道を走れる区分かどうかは、見た目では分かりません。不明なときはメーカーに問い合わせ、道路運送車両法など関連法規も合わせて確認しましょう。

使わなくなった乗用草刈機は売れますか?

値段は型式や年式、状態で決まります。売れるかどうかは、農機具の買取業者に査定を依頼すると分かります。依頼の前に型式と年式を控えておきましょう。

まとめ

乗用草刈機は、市区町村でナンバープレートを取得していても、保安基準を満たしていない一般的なモデルでは公道を走行できません。ナンバーは軽自動車税の納税の証明であり、公道走行の許可証ではない点に注意が必要です。

例外として、筑水キャニコムの家族のまさお(CMX2412HCD等)のように、小型特殊自動車の型式認定を受けたモデルであれば公道走行が可能です。その際は普通免許や小型特殊免許の保有、ナンバーの装着、そして自賠責保険への加入を必ず済ませた上で、安全に圃場間の移動を行ってください。

公道走行の可否に迷ったときは、道路運送車両法など関連法規を確かめつつ、メーカーに問い合わせるのが確実です。

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