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トラクターは、農業に欠かせない機械です。しかし、多くの農家の方が見落としがちなのが、トラクターの所有に伴う税金や維持費の問題です。
農業用機械を購入する際、初期投資だけでなく、毎年発生する経費についても事前に理解しておくことが、効率的で安心な農業経営に繫がります。
本記事では、トラクターにまつわる税金の種類、税金を含む維持費、そして廃車手続きについて解説します。
トラクターの購入を検討している人には意外に感じられるかもしれませんが、トラクターの所有には税金が課せられます。トラクターは単なる作業機械ではなく、法律上は「自動車」として扱われるため、一定の税負担が発生するのです。
農業用トラクターの税金は、主に車両の最高速度によって分類され、軽自動車税や固定資産税の対象となります。トラクターを所有する際は、単に購入価格だけでなく、毎年発生する税金についても理解しておきましょう。
乗用装置のあるトラクターやコンバイン、田植機などは「農耕作業用自動車」といいます。この車両は最高時速により、小型特殊自動車と大型特殊自動車に区分されます。
トラクターの多くは「小型特殊自動車」に分類され、軽自動車税の対象となります。軽自動車税は、最高速度が35km/h未満の農耕作業用自動車に課されます。税額は地域によって若干異なりますが、通常は年間2,000〜2,400円程度となっています。
公道走行の有無に関わらず、自分の敷地内でのみ使用するトラクターも課税対象です。ナンバープレートの取得が必要で、市区町村の税務課で手続きを行う必要があります。申告を怠ると、最大10万円以下の過料が科される可能性があるため、注意が必要です。
大型特殊自動車に分類されるトラクターの場合、軽自動車税ではなく固定資産税(償却資産)の対象となります。大型特殊自動車は、最高速度が35km/h以上のトラクターが該当しますが、日本国内で使用されるトラクターの大部分は小型特殊自動車に分類されるため、固定資産税の対象となるケースは非常に稀です。主に海外製の大型トラクターなどが該当する可能性があります。
両方の税金に共通するのは、トラクターを所有している限り、使用頻度に関わらず毎年課税されるという点です。使用していない、あるいは故障しているトラクターを長期間保有している場合でも、税金の支払いは発生します。
トラクターを所有していると発生するコストとして、税金以外に車検費用や点検費用があります。これらを考慮して、年間の維持費がどれくらいになるかを把握しておきましょう。
前述の通り、小型特殊自動車には軽自動車税がかかります。軽自動車税の税額は年間2,000〜2,400円程度ですが、これは市区町村に対して納めるので、下記のように各市町村の公式サイトに具体的な税額が示されています。
最高速度が35km/h以上の大型特殊自動車に分類されるトラクターは、2年ごとに車検が義務付けられています。車検にかかる費用は、トラクターの状態や必要な整備によって変動しますが、おおよそ5万円以上を準備しておく必要があります。
一方、小型特殊自動車に分類されるトラクターには、車検は不要です。
トラクターの点検は、法的に義務付けられているわけではありませんが、機械の長寿命化と安全な運転のために非常に重要です。自己点検を行えば費用は発生しませんが、専門業者に依頼する場合は点検費用が必要となります。
定期的な点検は、早期に故障や不具合を発見できるため、結果的に大規模な修理費用を抑えることが可能です。また、適切なメンテナンスは、トラクターの買取価格にも良い影響を与えることがあります。
トラクターを所有していると、使用の有無にかかわらず税金が発生するため、使わなくなったり買い替えが必要になったりした際には、廃車手続きを行っておくことが大切です。
軽自動車税は毎年4月1日時点で所有者に課されるため、これまでに廃車を済ませ、自動車を所有していない状態になっておく必要があります。
トラクターの廃車には、以下の書類が必要です。
それぞれ簡単に説明しておきます。
この書類は、トラクターを廃車する際に市区町村に提出する公式な申請書類です。トラクターの基本情報、所有者情報、廃車理由などを記載する必要があります。市区町村の税務課で入手可能で、正確に記入することで、税金の精算や記録管理を行います。
トラクターに交付されたナンバープレートは、廃車手続きの際に必ず返却しなければなりません。これを忘れると、トラクターを手放した後でも毎年課税され続ける恐れがあるため、注意してください。
ナンバープレート交付時に発行される書類で、ナンバープレート番号や車両の登録情報が記載されています。廃車手続きの際に提示が求められ、紛失している場合は、事前に再発行の手続きが必要です。
運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなどの公的な身分証明書が該当します。所有者本人であることを証明するため、廃車手続きの際に必ず提示が求められます。顔写真がついたものであればいずれか1点、顔写真なしなら2点用意する必要があります。
印鑑は必要ない場合もありますが、念のため持参しておくのが無難です。
所有者本人以外が廃車手続きを行う場合に必要な書類です。委任者の署名や印鑑、代理人の情報を明記し、所有者本人の意思を証明します。家族や知人に手続きを依頼する場合、委任状が廃車手続きの正当性を担保する書類となります。
トラクターの所有には、意外と多くの人が気づいていない税金や維持費の側面があります。トラクターは法律上「自動車」として扱われ、最高速度に応じて軽自動車税や固定資産税の対象となります。
さらに、車検や点検といった維持費も考慮する必要があります。特に注意すべきは、使用していないトラクターを長期間保有し続けると、毎年の税金負担が続くことです。そのため、使用見込みのないトラクターは早めに処分を検討することが賢明な選択となります。
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