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夏の炎天下、延々と続く畦の草刈り。「もう肩掛け式の刈払機では体力的にも時間的にも限界…」と感じ、作業を劇的に楽にしてくれる「ウイングモア」に興味をお持ちではないでしょうか。
しかし、決して安くはない買い物だからこそ、「買ってから後悔したくない」「自分の圃場には合わなかったらどうしよう」といった不安も大きいかと思います。
そこで、本記事ではウイングモアで欠点となりうる項目にフォーカスしつつ、メリットや他機種との違いについても紹介します。
後半では、導入コストを抑えるための工夫として、不要な農機具の買取活用についても触れています。購入を検討中の方は、ぜひ参考にしてください。

ウイングモアは、畦や法面などの草を効率よく刈るために設計された草刈機です。左右に広がる可動式の刈刃(ウイング)によって、畦の上面と側面を同時に処理できるのが大きな特徴です。
刈刃の角度は調整できるため、畦の傾斜にもぴったり沿わせて作業できます。操作はハンドルを持って歩くだけ。重労働になりがちな草刈りの負担を軽減し、手作業で起きやすい刈りムラも防げるので、仕上がりも綺麗です。
とはいえ、どんな場所でも使えるわけではありません。地形や草の状態によっては適さないこともあるため、導入前に用途をしっかり確認する必要があります。

斜面や畦の草刈りに便利なウイングモアですが、全ての環境に適しているわけではありません。ここでは、価格や取り回し、小回りの不便さなど、欠点・デメリットとなりうる点について説明します。
ウイングモアは機能性に優れる反面、価格は高めになります。一般的な草刈機と比べると購入費用が数倍以上になることもあり、初期投資に慎重にならざるを得ません。
特に小規模農家や限られた範囲の草刈りを目的とする方にとっては、費用対効果の見極めが求められます。使いこなせば作業効率は確かに向上しますが、費用が回収できるほどの利用頻度があるかどうかを考えなければなりません。
そのため、中古品を検討したり、後述する不要な農機具の買取を活用したりして、負担を減らす方法を検討することが大切です。
ウイングモアは構造上、幅が広く設計されており、狭い場所や細かい作業には向きません。広い場所を直線的に進む作業は得意ですが、複雑な地形や入り組んだ場所では操作が難しくなります。
直線的に進んだ後、機体を反転させて戻る際にも注意が必要です。ウイングが張り出していることもあり、旋回には広いスペースと一定の力が求められます。狭い畦道や障害物の多い環境では、Uターンに手間取ることもあるでしょう。
したがって、ウイングモアはこれ一台で全て完結するのではなく、刈払機と組み合わせることが基本です。広い面はウイングモア、隅は刈払機、という使い分けが前提と考えると良いでしょう。
自走式で操作は簡単に見えても、ウイングモアは重量があるため、運搬や現場内での移動に手間がかかります。軽トラックへの積み下ろしには、「あゆみ板(ラダーレール)」が必須です。
また、さきほども説明した通り、方向転換やUターンにはそれなりのスペースが必要です。ウイング部分が張り出しているため、障害物との距離感に注意を払うことが求められます。
運搬だけでなく、雨風をしのげる保管場所を確保することも忘れてはなりません。購入してから置き場所に困らないよう、あらかじめ計画しておきましょう。
ウイングモアの刈刃は、アームの長さの範囲でしか斜面を刈れません。そのため、アーム長を超えるような幅の広い斜面には対応しきれないケースが出てきます。
高低差のある法面や広すぎる土手では、斜面の全体を一度に刈ることができず、上半分や下半分が刈り残ってしまうのです。これでは二度手間になったり、結局手作業が必要になったりします。
購入してから後悔しないよう、あらかじめ畔の幅を測っておきましょう。その上で、検討中の機種の仕様(刈幅)が、その畔に対応可能かを確認してください。
ウイングモアは草丈が一定の高さまでであれば効率的に作業できますが、逆に言えば、刈れる高さに限界がある点がデメリットとなります。特に膝丈を超えるような高草には対応しきれないケースがあります。
また、刈高の調整幅にも限界があるため、雑草の種類によっては中途半端に残ってしまうこともあります。作業後に追加処理が必要になる場面もあるため、草の状態によっては非効率になることも。
導入前には、現場で生えている草の種類や成長状況を確認し、刈高の仕様と照らし合わせて検討しましょう。状況によってはハンマーナイフモアのような機種のほうが適していることもあります。

ウイングモアは、価格の高さや取り回しのしやすさなど欠点となりうる側面がある一方で、当然ながら、それを上回るメリットもあります。ここでは、ウイングモアのメリットについてまとめましたので、あらためて確認しておきましょう。
ウイングモアの大きな魅力は、畦の上面と側面を一度の通過でまとめて刈れる点にあります。一般的な刈払機では、上面と側面を別々に処理する必要がありましたが、ウイングモアならその手間が一気に省けます。
この同時処理を可能にしているのが、L字型に配置された刈刃の構造です。操作はシンプルで、機械をまっすぐ進めるだけ。特別なテクニックがなくても、刃が自動的に畦の形状に沿って草を刈ってくれます。
そのため、作業時間は単純計算でも半分以下に短縮します。真夏の作業では、時間が短くなるほど体への負担も軽くなり、熱中症のリスクを大きく抑えられるという点でも大きなメリットといえるでしょう。
畦の傾斜は、場所によって急なところもあれば、なだらかなところもあり、形状はさまざまです。ウイングモアは、こうした傾斜の違いに応じて刈刃の角度を自在に調整できる機能を備えています。
多くの機種では、手元のレバーを操作するだけでウイングの角度を簡単に変更でき、直角に近い畦でも、緩やかな法面でも、一台でしっかり対応可能です。
角度調整ができることで、刈刃は常に斜面にぴったり沿い、刈り残しをぐっと抑えられます。仕上がりも綺麗に整い、「ちゃんと刈れるか不安…」というストレスからも解放されるはずです。
ウイングモアはエンジンによって自走する構造のため、押したり引いたりする力が最小限で済みますに広い畦や法面では、長時間の作業が必要となるため、自走機能は作業者の負担を大きく軽減します。
一般的な肩掛け式や押し歩きタイプの草刈機では、体力勝負になる場面も少なくありません。とくに夏場の作業では、疲労が蓄積しやすく、事故やミスの原因にもなりがちです。
その点、自走式のウイングモアなら、ハンドルを握って歩くだけで機体が進んでくれるため、体力に自信のない方でも安心して使えます。高齢や女性の作業者にも扱いやすい点は、導入を後押しする大きなメリットといえます。
ウイングモアは一定の高さで刈り込む設計になっており、作業の仕上がりが均一です。上面・側面の刈高を揃えやすく、見た目にも美しい畦に仕上がります。
手作業や従来の草刈機では、どうしても刈り残しやムラが生じがちで、後から整える手間が発生します。特に農地周辺や人目につく場所では、雑然とした印象が残りやすく、景観面でもマイナスに働くことがありました。
ウイングモアを使えば、一度の走行でまっすぐに整った草刈りができ、農地全体の印象が良くなります。美観を保ちつつ、日々の作業効率も上げられる点で、長く使うほどにその価値を実感できる機械です。

ウイングモアの導入を検討する際によく比較されるのが、スパイダーモアとハンマーナイフモアです。いずれも広い範囲の草刈りを効率よくこなせる機械ですが、それぞれ得意な作業や適した場所が異なります。
どの機械が自分の圃場や作業内容に合っているのか把握するために、まず基本的な違いを理解しておきましょう。
| 項目 | ウイングモア | スパイダーモア | ハンマーナイフモア |
|---|---|---|---|
| 対応地形 | 畔・緩やかな法面 | 急斜面・不整地 | 平地・高草・荒地 |
| 草丈 | 短い~中程度の草丈 | 短い~中程度の草丈 | 高草・雑草・枯草も処理可能 |
| 仕上がり | 綺麗 | やや荒い | 荒い(草を粉砕) |
| 自走機能 | あり | あり(傾斜制御に優れる) | あり |
| 刈った草の処理 | そのまま残る | そのまま残る | 細かく粉砕され地面に還る |
これまで解説してきた通り、ウイングモアは畔の草刈りを、綺麗に、かつ効率的に行うために開発された機械です。畔の上面と側面を同時に刈れる機能は、他の2つの機械にはない特徴です。
水田の畔管理が作業の中心で、作業時間と身体的負担を減らしつつ、仕上がりの美しさも保ちたいという方に適しています。平坦地〜緩やかな斜面での作業効率は高く、まさに、「畔の草刈りの決定版」といえる一台です。
ただし、急すぎる斜面や、背丈を超えるような硬い雑草、小枝が混じるような荒れ地には向きません。あくまで管理された畔を維持していくための機械と考えるのが良いでしょう。
スパイダーモアの強みは、その名の通り、蜘蛛のように急な斜面に張り付いて作業ができる走破性です。人が立つのが困難なほどの急斜面でも、安定して草を刈ることができます。
スパイダーモアには、作業者が安全な場所から操作できるリモコン式もあります。転倒や滑落の危険がある場所での草刈りを、安全を確保しながら行える唯一無二の存在です。
リモコン式スパイダーモアは価格が高めではありますが、その安全性と急斜面での作業能力は、作業者によっては、価格以上の価値があります。
✅️ 合わせて読みたい:スパイダーモアの欠点とは?利点とメンテナンス方法も紹介
ハンマーナイフモアは、パワーと粉砕能力に最も特化した機械です。多数の刃が高速で回転し、草を刈り取るというより「叩き砕く」ように処理します。
そのため、背丈が高く伸びきった雑草はもちろん、硬い笹や細い木の枝などもろとも粉砕しながら進むことができます。休耕田や果樹園の下草、管理が滞った荒れ地の開墾など、最もタフな環境で真価を発揮するでしょう。
仕上がりは細かく粉砕された草が地面に残る形で、美しさを求める場所には向きません。しかし、「とにかくパワフルに、生い茂った雑草地を更地のようにしたい」というニーズには、これ以上なく応えてくれる一台です。
✅️ 合わせて読みたい:ハンマーナイフモアの欠点とは?ロータリーナイフモアやスパイダーナイフモアとの違いも

ウイングモアは性能に優れる分、価格が高めな機種が多く、導入をためらう方もいるでしょう。そのようなときは、状態の良い中古機を検討するのもひとつの方法です。近年は整備済みの中古農機具も多く出回っており、コストを抑えながら必要な性能を備えた一台を見つけることも可能です。
一方で、購入資金を確保する手段として、使わなくなった農機具を手放すという方法もあります。たとえ動かない機械でも、部品取り用などの需要があり、値がつくケースは珍しくありません。廃棄せず、一度査定に出してみる価値はあるでしょう。
こうした売却を検討する際には、農機具専門の業者に相談するのが安心です。知識のある担当者であれば、機種の状態をふまえた査定が期待できます。中古購入と売却をうまく組み合わせることで、ウイングモアの導入を前向きに検討しやすくなります。
ウイングモアには価格や取り回しといった課題もありますが、それ以上に作業効率や仕上がりの美しさといったメリットも多く、用途に合えば非常に頼れる一台です。
購入のハードルとなる資金面でお悩みでしたら、不要になった農機具の売却も賢い選択肢です。
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