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確定申告を正しく行うためには、農機具の耐用年数と減価償却の仕組みを理解しておく必要があります。
そして、税務上の計算期間が終わって帳簿上の価値がなくなっても、市場価値までゼロになるわけではありません。
この記事では、農機具の耐用年数の基本や減価償却の計算について解説するとともに、農機具に残る価値の活かし方について解説します。
農機具を使用していく上で、税法上の基準である耐用年数(法定耐用年数)と、機械としての物理的な寿命は異なります。
耐用年数はあくまで税務における減価償却の期間であり、実際の寿命とはイコールではありません。
この違いを簡潔にまとめたのが、下表です。
| 項目 | 耐用年数 | 寿命 |
|---|---|---|
| 目的 | 税務・会計処理の基準 | 実際の使用可能期間の目安 |
| 基準 | 一律7年 | 稼働時間や使用状況に依存 |
| 影響する要因 | 法律・税務規定 | メンテナンス、使用環境 |
| 活用場面 | 減価償却費の計算 | 実際の運用、買い替え判断 |
この違いを理解しておくと、税金対策や買い替えの時期に役立ちます。
次に、主な農機具の耐用年数を確認し、続いて少し複雑な中古農機具の計算ルールについても順を追って解説していきます。
農機具の耐用年数は基本的に7年と考えてもらうと良いですが、例外もあります。ここでは、一般的な7年のケースと、それ以外のケースに分けて説明します。
現在、農機具の耐用年数は、原則として7年に統一されています。
以前は農機具の種類によって耐用年数が異なっていましたが、平成20年度(2008年)の税制改正により、ほとんどの農業用設備(農機具)の耐用年数は一律7年と定められました。
▼法定耐用年数が7年の主な農機具
| 農業用設備の種類 | 細目 | 耐用年数 |
|---|---|---|
| トラクター | 乗用型トラクターなど | 7年 |
| 耕うん整地用機具 | ロータリー、ハロー、代掻機、プラウ、鎮圧機、均平機、うねたて機、あぜ塗り機など | |
| 栽培管理用機具 | 田植機、育苗機、たい肥散布機、は種機、中耕除草機、スプリンクラー、剪定機など | |
| 防除用機具 | 散粉機、噴霧機、ミスト機、土壌消毒機など | |
| 穀類収穫調製用機具 | 自脱型コンバイン、刈取機、稲わら収穫機(自走式のものを除く)、わら処理カッター、その他のもの(普通型コンバイン、ウインドロウアー、籾すり機、脱穀機、穀物乾燥機など) |
ただし、実際にどれくらい持つかや長持ちさせるコツは機械ごとに異なります。農機具に合わせて、以下の詳細記事もぜひ参考にしてください。
✅️ 合わせて読みたい:
耐用年数が7年ではない農機具の例は、以下の通りです。
こうした例外を除けば、ほとんどの農機具は耐用年数を7年と考えて問題ありません。
農機具を含む減価償却資産の費用計上には、定額法と定率法の2つがあります。
それぞれ理解しやすいように、シミュレーションつきで説明します。
定額法は、購入費用を耐用年数で割り、毎年同じ金額を均等に経費計上していく方法です。
定額法のメリットは計算が簡単で、毎年の経費額が一定なため、将来の収支計画が立てやすいところです。
個人事業主は特に手続きをしなければ、こちらの方法で計算することになります。
【シミュレーション】
新品トラクター 350万円を購入(耐用年数7年/償却率0.143)した場合
| 経過年数 | 減価償却費(経費になる額) | 解説 |
|---|---|---|
| 1年目 | 500,500円 | 350万円 × 0.143 |
| 2年目 | 500,500円 | 毎年同じ額を経費にする |
| 3年目 | 500,500円 | 同上 |
| … | … | … |
| 7年目 | 500,499円 | 最後に1円(備忘価額)を残して完了 |
このように、7年間にわたって毎年約50万円ずつ経費化していくのが定額法です。
定率法は、未償却残高(まだ経費にしていない残り)に対して一定の割合をかけて計算する方法です。
定率法のメリットは、買ったばかりの初年度に一番大きな金額を経費にできる点にあります。個人事業主がこの方法を選ぶには、税務署への届出が必要です。
【シミュレーション】
新品トラクター 350万円を購入(耐用年数7年/償却率0.333)した場合
| 経過年数 | 減価償却費(経費になる額) | 解説 |
|---|---|---|
| 1年目 | 1,165,500円 | 350万円 × 0.333(定額法の2倍以上の経費) |
| 2年目 | 777,389円 | (350万-116.5万) × 0.333 |
| 3年目 | 518,518円 | 残高 × 0.333 |
| … | … | …(年々、経費額は小さくなる) |
このように、定率法は1年目のインパクトが大きいことが理解できるでしょう。ただし、2年目、3年目と経費にできる額は減っていきます。
「今は利益が出ているから税金を抑えたいけれど、数年後はどうなるかわからない」というケースでは、後半に経費が減ってしまう定率法のリスクもしっかり考慮する必要があります。
中古農機具は、すでに耐用年数の一部またはすべてが経過しているため、新品の法定耐用年数(7年)をそのまま適用することはできません。
減価償却の計算には、一般的に簡便法が用いられます。
ここでは、耐用年数の一部が経過しているケースと、すべて経過しているケースに分けて説明します。
耐用年数がまだ残っている中古機械では、以下の計算式を用います。
耐用年数 = (法定耐用年数 - 経過年数) + (経過年数 × 20%)
※計算結果の1年未満の端数は切り捨て、2年未満になった場合は2年とします。
<計算例:法定耐用年数7年のトラクターを4年落ちで買ったケース>
このとき、以下の手順で計算します。
このように、本来7年かけて減価償却するものを、3年で経費計上することになるのが分かります。
耐用年数が過ぎている中古機械では、次の計算式を使います。
法定耐用年数 × 20%
<計算例:法定耐用年数7年のトラクターを10年落ちで買ったケース>
法定耐用年数をとっくに過ぎている古い機械の計算は、非常にシンプルです。
つまり、どれだけ古い農機具であっても、最短2年で全額を経費計上するということです。
7年の耐用年数が過ぎても、その農機具はすぐ壊れて使えなくなるわけではありません。
それどころか、日本製の農機具なら使い方ひとつで10年、20年と現役で活躍してくれることも珍しくありません。
エンジンオイルは潤滑、冷却、清浄などの重要な役割を担っています。オイルが汚れたまま使用を続けるとこうした性能が低下し、金属部品同士の摩擦が増えてしまいます。
最終的には、エンジン内部の部品が熱で溶けて固着する、焼き付きという深刻な故障を引き起こしかねません。
そのため、定期的なエンジンオイルの交換をしましょう。交換時期は機械の種類やメーカー、モデルによって異なるので、取扱説明書を参考にするのが確実です。
農機具に泥や草が長期間付着したままだと、サビの原因になります。泥や草は水分を含んでいるため、金属部分に張り付いたままだと、驚くほどのスピードでサビを進行させます。
作業後は高圧洗浄機やエアーコンプレッサーを使い、必ず汚れを落としましょう。
特に草刈機は草や泥が内部に入り込みやすいため、使用直後の清掃が機械を良好な状態に保つために大きな影響を与えます。
農機具にとっての天敵は、雨と紫外線です。青空駐車で雨ざらしにしていると、塗装は剥げ、タイヤなどのゴム部品はひび割れ、電気系統はショートしやすくなります。
これでは、機械の寿命を自ら縮めているようなものです。
理想は屋根と壁のある倉庫に保管することですが、スペースの都合で難しい場合もあるでしょう。その際は、厚手のブルーシートをかけるなどして、直接雨風や日光が当たらない工夫をしてください。
保管状態の良し悪しは、機械の調子だけでなく、将来手放すときの買取価格にも直結するポイントとなります。
法定耐用年数を過ぎて帳簿上の価値が1円になっても、機械としての価値までゼロになるわけではありません。丈夫な日本製の農機具なら、10年以上経過していても国内外の中古市場で高値で取引されています。
むしろ、減価償却が終わったタイミングこそが売り時といえるでしょう。
経費計上が終わって税負担が増える前に売却すれば、その現金を次の機械の購入資金に充てられます。
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