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ラジコン草刈機の導入には、個人の農家でも使える補助金や助成の制度があります。対象となる農家の条件が決まっており、多くの制度は購入前の申請が必要です。
畦畔や法面の草刈りが年々きつくなり、ラジコン草刈機を検討しても見積もりの高さを前に購入をためらうかたもいるでしょう。
この記事では、個人で利用できる補助金と集落・組織向けの制度を整理し、申請の順番や自己負担の計算方法を解説します。補助金で購入した機械を売却するときの決まりも紹介するので、導入を検討する際の参考にしてください。
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ラジコン草刈機の導入に使える制度は個人で申し込めるものと、集落や組織を通して利用するものに分かれます。
個人向けには市町村の補助金やJAの助成、みどり投資促進税制があります。耕作面積や認定農業者などの要件があり、誰でも利用できるわけではありません。
一方、国の交付金や補助事業の多くは集落や協議会、JAなどが窓口になります。
| 区分 | 主な制度 | 個人が自分で申し込めるか | ひとこと |
|---|---|---|---|
| 市町村の補助 | 市町村の単独の補助金 | ○(面積・認定農業者・受託などの要件あり) | 個人がいちばん使いやすい |
| JAの助成 | JA独自の助成 | ○(組合員) | JAごとに有無も対象も違う |
| みどり投資促進税制 | 特別償却32% | ○(青色申告とみどり認定が要る) | 現金は出ない。補助金と併せて使える |
| 中山間地域等直接支払 | スマート農業加算・共同取組活動 | ×(集落協定) | 集落で1台入れるなら有力 |
| 多面的機能支払 | 活動組織による機械の購入 | ×(活動組織) | 組織が持ち、参加者に貸す |
| 国の補助事業 | グリーンな栽培体系加速化事業など | △(協議会・JA・サービス事業体を通す) | 個人が1人で窓口に行っても申し込めない |
| 中小企業向けの補助金 | 小規模事業者持続化補助金など | △(事業計画が前提) | 草刈機を1台買うだけの計画は認められにくい |
なお、ラジコン草刈機とリモコン草刈機は同じ機械を指します。自動で走行するロボット草刈機とは種類が異なり、補助の対象も同じとは限りません。
刈払機は共立(いまのやまびこ)が1960年に国内初の背負動力刈払機RM-1を売り出してから、60年以上使われてきました。離れた場所から操作するリモコン式では、農研機構の研究資金で開発された三陽機器の機種が2018年4月に発売されました。
国の制度でもラジコン草刈機は扱われています。例えば、みどり投資促進税制の対象機械の一覧には化学農薬の使用低減に役立つ機械としてメーカーが国の認定を受けた計画にもとづいて、ラジコン草刈機が載っています。
また、農林水産省の農作業安全をめぐる情勢(2026年4月)では熱中症の危険を下げる取組の例として「リモコン草刈機等による軽労化」を挙げました。
家庭向けの電動刈払機などを対象にした補助もありますが、ここからは農業者が利用する制度に絞って紹介します。

個人の農家でもラジコン草刈機の補助金を申請できますが、耕作面積や農業収入、認定農業者の資格などによって対象者が絞られます。
利用できる制度は住んでいる市町村や農業経営の状況で異なるため、まずは自分が要件に当てはまるかを確かめましょう。
以下では2026年度の制度を中心に紹介します。補助率や募集期間は年度によって変わります。
ラジコン草刈機の導入を支援する市町村では購入費用の一部を補助する制度を設けています。
年度の異なる制度も含めて調べた自治体・JAの14件では補助率は1/10〜1/2で、もっとも多かったのは1/2です。上限額は50万〜100万円が中心で、少ないものは5万円、組織向けには200万円の例もありました。
2026年度の市町村の補助金を4つ紹介します。
| 自治体 | 補助率と上限 | 主な要件 | 中古 | 受付 |
|---|---|---|---|---|
| 三次市(広島県) | 1/3以内・上限50万円 | 市内で農業経営をしていて、登記面積の合計が300a以上 | 新品のみ | 令和9年2月26日まで(2026年11月時点で受付中の例) |
| 三原市(広島県) | 1/2・上限50万円 | 耕種農業を行う認定農業者 | 記載が見当たらない | 2026年度の第2回は8月21日で締切 |
| 出雲市(島根県) | 1/2・上限50万円 | 主な収入が農業、農産物の販売が50万円以上、耕作が30a以上のいずれか | 条件付きで可 | 2026年度は4〜6月(2次募集まで)で締切 |
| 小野市(兵庫県) | 1/2・上限100万円 | 市内の草刈り作業の受託が条件 | 記載が見当たらない | 2026年度は6月の3日間(補助金の情報サイトの掲載による) |
同じラジコン草刈機でも自治体によって対象者の条件は大きく異なります。調べた制度では主に次の項目が判断基準になっていました。
個人では条件を満たせなくても、近所の農家と共同で導入する道もあります。
福島県塙町の2026年度の制度では3戸以上の団体も対象でした。
制度名も市町村によって異なり、岩手県一関市のように「スマート農業機械導入」の補助で対象機械を定めている例があります。ラジコン草刈機の名前が制度名に入っていなくても対象に含まれていないか確認してみましょう。
なお、国の「担い手確保・経営強化支援事業」も個人が利用できる制度ですが、地域計画の担い手であることや、原則として融資を受けることなどの条件があります。
JAも独自に農業機械の購入を支援しており、ラジコン草刈機が助成対象に含まれることがあります。
例えば、JAバンク神奈川では2026年4月1日〜2027年3月31日の助成対象にリモコン草刈機を挙げています。
管内に住所があり、耕作面積が30a以上か農産物の販売額が年50万円以上の組合員が対象です。ほかの補助金を差し引いた費用の50%、上限50万円が助成されます。購入前の審査の申し込みも必要です。
JAによって助成の有無や対象機械は異なります。ラジコン動噴は対象でも草刈機は含まれないJAもあるため、加入しているJAに直接問い合わせましょう。
みどり投資促進税制は農業機械を導入したときに使える税の特例で、補助金のように現金が支給されるわけではありません。
都道府県から「みどり認定」を受けた農業者が認定された計画に沿って対象機械を購入すると、取得価額の32%を特別償却できます。
特別償却とは、購入した年に通常より多くの減価償却費を計上できる仕組みです。後の年に計上する経費を前倒しするため、税額が32%減るという意味ではなく、税負担の時期をずらす性質があります。利益が小さい年は効果も小さくなります。
主な利用条件は次のとおりです。
みどり認定を受けるには、化学肥料や化学農薬の使用低減などの取組と導入する機械を記載した計画を作り、都道府県の窓口に提出します。
認定には時間がかかり、愛知県では年3回の受付で、受付開始から認定まで3〜4か月ほどかかります。認定前に機械を購入すると、この税制は利用できません。
制度の期限は令和8年度の税制改正によって2028年(令和10年)3月31日まで延長されました。対象機械は農林水産省の一覧に型式ごとに掲載されており、補助金との併用も認められています。
なお、現在の制度に税額控除の選択肢はありません。具体的な税務処理は税理士に確認しましょう。

ラジコン草刈機を1人で購入するには負担が大きいときは、集落や組織で共同導入する方法もあります。
集落協定や活動組織を通して機械を購入し、参加者で利用する形です。個人の所有物にはできませんが、近所に草刈りで困っている農家がいれば、共同利用を検討する価値があります。
中山間地域等直接支払は、傾斜地など条件の厳しい農地で農業生産活動を続ける集落を支援する制度です。
制度が始まったのは2000年度です。協定の数は2004年度の約3万4千をピークに減り、2025年度(暫定値)は約2万2千になりました。
第6期(2025〜2029年度)には「スマート農業加算」があり、農林水産省の資料では取組例として「リモコン式自走草刈機による除草」が挙げられています。
2026年度のスマート農業加算は10aあたり5,000円、1年度の上限200万円です。体制整備単価で取り組む集落協定が対象で、定められた目標を達成できなければ交付金の返還を求められます。
また、同じ機械にほかの国の補助事業と重ねて交付金を充てることはできません。
スマート農業加算とは別に共同取組活動の交付金を使って共同利用の機械を購入する方法もあります。
すでに集落で中山間地域等直接支払に取り組んでいるなら、まずは協定の代表者にスマート農業加算や共同取組活動で草刈機を導入できないか相談してみましょう。
多面的機能支払は農地や水路、農道などを地域で維持管理する活動を支援する制度です。
国の要綱には草刈機の名前は出てきませんが、山梨県北杜市や愛媛県の運用資料では活動に必要な草刈機などの購入費を対象として案内していました。
購入した機械は活動組織が所有・管理し、使うときに活動組織から参加者に貸し出す形になります。
また、購入だけでなくレンタルと比較して判断するよう求める資料もありました。
1件50万円以上の機械には処分制限があり、承認を受けずに譲渡することはできません。
国の補助事業にもラジコン草刈機を対象とするものがありますが、協議会やJA、農業支援サービス事業体などを通して利用するものが中心です。
2026年度の「グリーンな栽培体系加速化事業」では対象機械に「草刈機(自律走行式又はリモコン式のもの)」が明記されています。
補助率は1/2以内、上限1,000万円で、本体価格50万円以上の機械が対象です。事業の実施主体は協議会や都道府県、市町村、農協などであり、個人が直接申し込む制度ではありません。
また、「スマート農業・農業支援サービス事業加速化総合対策」では電動のリモコン式草刈機などを入れると、採択の審査で加点されます。こちらは農業支援サービスを行う事業体向けで、自分の農地だけで使う目的では利用できません。
個人の農家がこうした事業を検討するなら、市町村やJAに地域で導入に取り組む予定があるかを尋ねてみましょう。

ラジコン草刈機の補助金を受けられるかどうかは、機種や対象者の条件だけでなく申請する順番にも左右されます。
一般的な申請から入金までの流れは次のとおりです。
制度によって手続きは異なりますが、購入前の申請と交付決定が基本となります。
ラジコン草刈機の補助金を利用するなら購入する前に申請手続きを確認してください。
調べた自治体・JAの14件では7件が、交付決定後の購入を条件と明記していました。
先に購入したり、発注したりすると補助の対象外になる制度があります。例えば、2026年度の出雲市の補助では交付決定前に発注した機械は対象になりません。
一方、一関市の2026年度の農業用草刈機の補助のように購入後の申請を認める制度もあります。同制度は予算が上限に達した時点で受付を締め切る決まりでした。
みどり投資促進税制についても購入前にみどり認定を受ける必要があります。
役場の農林課やJAに相談するときは次の点を確認しましょう。
自分で調べるなら「市町村名 ラジコン草刈機 補助」「市町村名 スマート農業機械 補助」などの検索語が役立ちます。
制度名が自治体によって異なるため、草刈機以外の名称でも探してみましょう。
補助金の対象となるラジコン草刈機は、自治体や制度によって異なります。
例えば、広島県三原市の2026年度の制度ではヤンマーYW500RC、共立RCM600、アテックスRJ705を対象機種に挙げています。同等以上の性能を持つ機種は相談が必要です。
一方、三次市は「メーカーが製造し一般に販売するもの」などの条件で対象を定めています。
このほか、新品のみを対象とする自治体もあるため、価格だけで購入する機種を決めないようにしましょう。
みどり投資促進税制では農林水産省の一覧に載っている型式が対象です。型式ごとに対象期間があり、共立RCM600は対象期間が終了していますが、後継のRCM601は対象となっています。
見積もりを取る際は販売店に型式を伝え、利用したい補助金や税制の対象かどうかも聞いておきましょう。
補助金の自己負担額を考えるときは補助率だけでなく、補助金の上限額も見ておきましょう。
例えば、180万円のラジコン草刈機を購入し、補助率1/2・上限50万円の制度を利用するとします。
このときの計算は次のとおりです。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 購入価格 | 180万円 |
| 補助率1/2で計算した額 | 90万円 |
| 補助金の上限 | 50万円 |
| 実際の補助額 | 50万円 |
| 自己負担額 | 130万円 |
補助されるのは上限の50万円までで、購入価格の半額にあたる90万円にはなりません。
自己負担額を式にすると次のとおりです。
自己負担額 = 購入価格 − 補助額(補助率による計算額と上限額の低いほう)
ラジコン草刈機の値段も上がっています。ヤンマーのYW500RCは2023年の発売時に162万8,000円でしたが、いまの型(YW500RC,A)は181万9,400円です。上限で頭打ちになる補助では、本体の値上がり分がそのまま自己負担に乗ります。
また、補助金は購入後の実績報告を経て入金されるため、購入時には原則として全額を支払います。資金の準備が難しければ、取引のある金融機関に相談しましょう。
ほかにも、次のことに注意してください。
下取りの扱いは制度ごとに違うので、申請前に確かめておきましょう。買わずにレンタルで使うこともできます。
購入するかどうかは、補助後の金額だけでなく実際の草刈り作業に合った機種かどうかも含めて判断しましょう。機種の向き不向きは「ラジコン草刈機にデメリットはある?」で整理しています。

補助金で購入したラジコン草刈機は決められた期間中、自由に売却できません。
農業をやめたり、別の機械に買い替えたりするときも補助元の承認が必要です。購入してから困らないように売却に関する決まりも確認しておきましょう。
国の補助金で購入した農業機械には「処分制限期間」が設けられています。
補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律第22条では補助事業で取得した財産について、承認を受けずに交付目的に反する使用や譲渡、貸付などをすることを禁じています。
農林水産省の承認基準では処分制限期間は法定耐用年数に相当する期間です。ラジコン草刈機は農業用設備として耐用年数が7年とされるため、原則としてこの期間が処分制限の目安になります。
自治体独自の補助でも同様の制限があり、広島県三次市や島根県出雲市では7年の制限を設けています。
補助金を利用する際は購入後に何年間の制限があるのか、交付要綱で確かめておきましょう。
処分制限期間内にラジコン草刈機を売却したいときは先に補助金を交付した市町村やJA、協議会などへ相談し、必要な承認を受けてください。
承認を受けて売却しても補助金の一部の返納を求められることがあります。
国の補助事業の承認基準には、有償で譲渡した際、次の3つのうちもっとも高い金額に国庫補助率をかけた額の納付を求める定めがあります。
法人化して設立した法人に補助の条件ごと譲るなど、納付が要らない例外もあり、売却すれば必ず納付になるわけではありません。
市町村独自の補助ではその自治体の交付要綱に従います。国の補助事業の計算方法をそのまま当てはめず、要綱で確かめてください。
7年の処分制限期間を過ぎれば、この制限はかからなくなります。
なお、みどり投資促進税制は補助金ではないため、この処分承認の決まりは適用されません。売却に伴う税務処理については税理士に相談してください。
補助金を使わずに購入した農機具や処分制限期間を過ぎた機械は売却できます。
ラジコン草刈機への買い替えで使わなくなる自走式草刈機などがあれば、草刈機の買取を利用し、次の機械を購入する資金の一部に充てられます。
補助金で購入した機械が処分制限期間内にあるときは査定や売却を進める前に、補助元へ確認することが先です。
買い替えで手放す農機具と補助金による制限が残っている農機具を分けて整理しておくと、どれから売れるかがすぐに分かります。
2026年11月時点で、みどり投資促進税制は2028年3月31日まで延長されています。2026年3月は以前の期限で、令和8年度の税制改正によって2年間延長されました。
市町村の補助金は年度ごとに募集するため、現在の受付状況は各自治体に問い合わせてください。
中古も対象となる制度があります。調べた自治体・JAの14件では新品限定が3件、条件付きで中古も対象となるものが3件で、残る8件は中古の扱いについて記載が見当たりませんでした。
中古を認める制度でも残りの耐用年数や使用できる期間の証明が求められるため、購入前に確認しましょう。
輸入品の扱いは制度によって異なります。みどり投資促進税制の対象機械一覧(2026年10月23日時点)には国内メーカーの製品のみが掲載されています。
自治体の補助は要綱によって基準が違うため、型式を伝えて確認してください。
2026年11月時点のメーカー希望小売価格では畦畔向けの主なラジコン草刈機は税込170万〜220万円前後で、大型機には300万円を超えるものもあります。
調べた自治体・JAの14件では春から夏(4〜9月)に募集する制度が多く、予算に達すると受付が終了します。翌年度の導入を考えているなら冬から春にかけて役場へ相談しておくと良いでしょう。
みどり認定は取得まで数か月かかる例があるため、購入予定から逆算して準備を進めてください。
この記事では、ラジコン草刈機に使える補助金の種類や申請手順、購入後の売却制限について解説しました。
補助金を利用して導入費用を抑えるには、次のことを押さえておきましょう。
補助金が使えても、上限額によっては100万円以上の自己負担が残ります。購入後の資金繰りや将来買い替えるときのことまで考えておくと、無理のない導入計画を立てられます。
また、ラジコン草刈機への買い替えで使わなくなる農機具があれば、農機具買取の査定を受け、購入資金の足しにする方法も検討してみてください。
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