害獣被害にサヨナラ！自分でできる駆除のコツ

農作物が収穫間近になった頃、畑を見回ると何者かに荒らされていた――そんな経験をしたことはありませんか？イノシシが畑を掘り返し、カラスが穀物を食い荒らし、アライグマやハクビシンが果樹を狙う。

農家にとって害獣被害は決して他人事ではなく、一晩で数十万円分の作物が失われることも珍しくありません。

できることなら業者に頼らず、自分で害獣を追い払い、農地を守りたい。しかし、どの方法が本当に効果的なのか分からず、試行錯誤を繰り返している方も多いでしょう。

本記事では、農家が自分でできる害獣対策を解説します。さらに、自力での対策が難しくなった場合の業者依頼の費用や、駆除費用の負担を軽減するための農機具買取についても詳しく解説します。

農家の深刻な害獣被害

近年、農家の経営を脅かす深刻な問題として害獣被害が注目されています。農林水産省の「農作物被害状況」によると、野生動物による農作物被害は令和5年（2023年）で164億円にのぼり、営農意欲の低下や耕作放棄地の増加にも繋がっています。

特に中山間地域では、イノシシやシカによる水稲、野菜、果樹への被害が顕著で、一晩で収穫間近の作物が全滅するケースも珍しくありません。

被害は単なる収穫量の減少だけでなく、農地の掘り起こしや踏み荒らしによる農地基盤の損壊、さらには農作業機械の故障など、二次的な被害も発生します。これらの修復には多大な時間と費用がかかり、農家の経営を圧迫する要因となっています。

また、近年は環境変化や耕作放棄地の増加により、従来見られなかった地域でも害獣被害が報告されるようになりました。農村部の人口減少や高齢化により、地域ぐるみでの害獣対策が難しくなっていることも、被害拡大の一因となっています。

こうした被害を防ぐためには、早期の対策が重要です。しかし、専門業者に依頼すると高額な費用がかかるため、まずは自分でできる駆除対策を講じることが現実的な選択肢となるでしょう。

主な害獣と被害例

農家にとって、害獣は収益を脅かす深刻な問題です。丹精込めて育てた農作物が食い荒らされるだけでなく、糞尿による衛生環境の悪化など、その被害は多岐にわたります。

ここでは、農家が特に警戒すべき害獣とその被害について詳しく見ていきましょう。

ネズミ

農家にとってネズミは、穀物や飼料を荒らすだけでなく、器械の配線をかじることで機械の故障を引き起こす厄介な存在です。倉庫や畜舎に住み着くことが多く、繁殖力が高いため、一度発生すると短期間で被害が拡大します。

また、ネズミは病原菌を媒介し、衛生環境を悪化させるリスクもあるため、農場や畜舎の管理をする上で見過ごせない害獣のひとつです。

アライグマ

アライグマは見た目の可愛さとは裏腹に、農作物に甚大な被害を与える害獣です。特に果樹を狙う傾向が強く、リンゴ、ブドウ、柿などの果実を手当たり次第に食べるため、収穫直前の作物が台無しになることも少なくありません。

また、畜舎に侵入して飼料を荒らしたり、小動物を襲ったりするケースも報告されています。さらに、前足を器用に使い、ゴミ箱を漁ったり、建物の隙間から侵入したりするため、防御策が必要になります。

タヌキ

アライグマと似た見た目のタヌキですが、アライグマほどの木登りは得意ではありません。しかし、果樹やイモ類などを食害し、アライグマのように木を傷つけることもあります。タヌキは夜行性で人目につきにくく、被害の発生に気づくのが遅れることが多いのも特徴です。

雑食性のため、農作物だけでなく、家畜や養殖魚に被害をもたらすこともあります。また、特定の場所に糞をする「溜め糞」の習性があり、悪臭や衛生問題を引き起こします。

ハクビシン

ハクビシンも木登りが得意な害獣です。果実を中心に、野菜や穀物、さらには昆虫や鳥の卵まで食べてしまう雑食性です。家屋の屋根裏に侵入して、糞尿被害や騒音問題を引き起こすこともあり、農家だけでなく一般住宅にとっても厄介な存在です。

カラス

カラスは空から農地を狙う、農家にとっては非常に厄介な害鳥です。種もみや果実をついばみ、特に収穫前の農作物を狙うため、その被害は経済的にも大きな打撃となります。

また、繁殖期には巣の近くを通る人間を威嚇・攻撃することがあり、生活環境における安全性を脅かします。フンによる汚染や鳴き声による騒音被害も問題となっています。

高い知能を持つため、対策を講じてもすぐに学習されてしまう、非常に手強い相手です。

イノシシ

イノシシは農作物を荒らす代表的な害獣で、イネや根菜類に被害をもたらします。地中に埋まっている作物を掘り起こして食べるため、畑全体が荒れ果て、耕作が難しくなることもあります。

さらに、農地を荒らすだけでなく、強靭な体を活かして柵を破壊したり、農道や畑の中を走り回って農機具に衝突したりすることもあります。繁殖力が高く、個体数が増えやすいため、一度発生すると被害が拡大しやすいのが特徴です。

シカ

シカは葉物野菜や稲を食い荒らす害獣で、群れで行動するため、被害が一気に拡大する傾向があります。また、角を使って木を傷つけたり、農作物を踏みつけたりするため、単なる食害にとどまらず、農地の地形を変えてしまうこともあります。

電気柵を設置しても、シカはジャンプ力が高く、簡単に乗り越えることがあるため、対策が難しい害獣のひとつです。農林業において深刻な被害をもたらすため、地域ぐるみでの対策が必要となる場合もあります。

自分でできる害獣対策（農家向け）

農家にとって、害獣被害は収益を大きく左右する深刻な問題です。しかし、すべての農家が専門業者に依頼できるわけではありません。そこで知っておきたいのが、農家自身の手でできる対策です。

ここでは、農家が自分でできる害獣対策を紹介します。

侵入を防ぐ対策

まず基本となるのは、害獣が農地や建物に侵入できないようにすることです。イノシシやシカなどの大型獣に対しては、高さ1.5メートル以上の頑丈な柵の設置が有効です。電気柵やワイヤーメッシュ柵などがよく用いられますが、設置の際は地面との隙間をなくすことが重要です。

また、アライグマやハクビシンなど木登りが得意な動物には、トタン板などの滑りやすい素材を幹や柵の一部に取り付けると良いでしょう。鳥類に対しては、防鳥ネットを隙間なく設置し、農作物を守ります。

そして、ネズミやアライグマなどの小型獣は、わずかな隙間からでも侵入してきます。建物の基礎や壁、屋根裏などを点検し、穴や隙間があれば金網やパテなどでしっかりと塞ぎましょう。配管や配線周りは特に侵入経路になりやすいので、注意深く確認することが肝心です。さらに、通気口や換気扇などにも金網を取り付け、侵入を防ぎましょう。

害獣を追い払う方法

侵入防止対策と並行して、害獣を追い払う方法も効果的です。例えば、害獣が嫌がる臭いや味を発する忌避剤は、農地への侵入を抑制する効果が期待できます。木酢液、ハーブ、唐辛子などの天然由来成分を利用したものや、化学的に合成されたものなど様々な種類があります。

ただし、定期的に散布する必要があり、雨などで効果が薄れる点には注意が必要です。また、同じ忌避剤を使い続けると害獣が慣れてしまう可能性があるため、複数の種類をローテーションで使用するのが良いでしょう。

音や光による威嚇も有効な手段です。センサー付きのライトやラジオ、超音波発生装置などを使って害獣を驚かせ、追い払いましょう。ただし、同じ音や光を使い続けると害獣が慣れてしまう可能性があるため、設置場所や種類を定期的に変えるなどの工夫が必要です。

さらに、伝統的な方法ではありますが、カラスなどの鳥類には、かかしや目玉風船、反射テープなども一定の効果があります。これらも長期間同じ場所に設置していると害獣が慣れてしまうため、定期的に場所や種類を変えることが必要です。

害獣の捕獲

侵入防止対策や追い払う方法でも効果が得られない場合は、最終手段として害獣の捕獲を検討します。ネズミやアライグマなどの小型獣には市販の捕獲器が有効です。

ただし、捕獲器を使用する際は、「鳥獣保護管理法」や自治体の条例に基づき、狩猟免許や捕獲許可が必要な場合がありますので、事前に必ず確認しましょう。

捕獲器は害獣の通り道や餌場などに設置します。捕獲器の種類によって適した餌が異なるため、対象の害獣に合わせた餌を選びましょう。

また、安全上の配慮が不可欠です。捕獲した動物の処理については、それぞれの自治体によって定められている方法で適切に行う必要があります。

害獣駆除を業者に依頼したときの費用

害獣の種類によって、駆除の難易度や使用する機材・薬剤が異なるため、費用も変動します。以下は一般的な駆除費用の目安です。

ネズミ駆除の費用

費用相場	1〜10万円
内容	粘着シートや毒エサの設置、巣の撤去、侵入口の封鎖など
ポイント	再発しやすいため、防鼠工事（穴埋めなど）を含めると追加費用がかかる

アライグマ・タヌキ・ハクビシン駆除の費用

費用相場	5〜15万円
内容	箱罠での捕獲、屋根裏や倉庫の清掃・消毒、侵入口の封鎖
ポイント	市区町村によっては、捕獲に許可が必要になるため、自治体と連携して対応する

カラス駆除の費用

費用相場	3〜8万円
内容	巣の撤去、ネットやワイヤーの設置、防鳥対策
ポイント	カラスは鳥獣保護法で保護されているため、自治体の許可が必要

イノシシ・シカ駆除の費用

費用相場	10〜30万円
内容	箱罠・くくり罠の設置、電気柵の施工、追い払い作業
ポイント	大型獣の捕獲・駆除には狩猟免許が必要な場合が多く、業者に依頼すると高額になりやすい

害獣被害対策の「困った」は農機具の買取査定で解決できるか

害獣による農作物被害は、農家の経営を圧迫する深刻な問題です。本記事では自力での対策方法をご紹介してきましたが、被害が深刻な場合は専門業者への依頼が必要になることもあります。しかし、業者への依頼費用は決して安くはなく、多くの農家の方が費用捻出に悩まれています。

そんなときに活用できる方法のひとつが、使っていない農機具の買取です。農機具を売却することで、害獣駆除の費用に充てることができれば、負担を抑えながら被害対策を進めることができます。

もし農機具の売却を検討するなら、「ウルトラファーム」 にご相談ください。ウルトラファームでは、壊れている農機具や古いモデルでも買取可能な場合があり、査定・引き取りの手間を減らしながら、スムーズに現金化することができます。

害獣駆除の費用負担を軽減し、農地を守るためにも、まずは無料査定を試してみてはいかがでしょうか。